目の下のくまと鍼灸

疲れているように見える、老けて見られる、不健康・不幸なイメージを持たれる、

暗い・怖い人と勘違いされてしまう。


最近では成人女性の3人に1人が このような悩みを持たれているようです。

 

人間はコミュニケーションを取る際目の下に視線が行きやすく、

また目元の状態だけで人の印象はかなり変わってしまうので

クマがあるとどうしてもに気になります。

 

お化粧でも隠し切れないクマは女性にとって油断ならないポイントですね。

 

現在ではクマにも3つのタイプがあると一般的に言われています。

・黒・の3種類です。

 

青クマとは寝不足・ストレス・眼精疲労・うつ病

      などが原因で目の周りが血行不良

      になることによって起こります。

 

黒クマとは加齢による目元のたるみや

       バセドウ病などにより、

       目袋の下に影できることによって

       現れます。 

 

茶クマとは目の周辺の摩擦・紫外線・

       血行不良の慢性化・乾燥肌・

       アトピー性皮膚炎などにより

       色素が沈着してしまった状態です。

 

では、これらの対策を考える上で大事なことは?

 

まずは目の周りの構造を知ることから始めましょう。

 

目の周りや、まぶたの皮膚は他の場所に比べてとても薄くなっています。

特に目の下はわずか0.6mmの厚みで 卵の薄皮程度しかありません。

そのため皮膚の下に張り巡らされた毛細血管の色が透けて見えているのです。


毛細血管の色が出ているわけですから対策としては目の周りの血流を良くすることが重要です。

血流が良くなれば青クマが薄れてきますし、段々と茶クマにも変化がでてきます。

 

また血行が促進することで目の下のたるみが改善されれば黒クマの解消にも繋がります。

 

そのための具体的な方法としては

①蒸しタオルなどで目を温める。

②パソコン・スマホ・ゲーム・テレビなどの液晶画面を見る時間を減らす。

③目の周りをマッサージする。

 

これらを継続的に行うことでクマの改善に繋がっていきます。

 

 

 


 次に東洋医学からの観点で目の下のクマを診ていくわけですがいくつかの書物を読んだ限りでは

古典の東洋医学では目の下のクマを病症とは捉えていないようです。

(もちろん、こちらの勉強不足ということは充分にあり得ます

 

 

昔は携帯やパソコン・テレビなどが無かったので現代ほど目を酷使することが無く、クマができることがほとんどなかったのかもしれません。


よほどの寝不足や疲労でもない限りクマにはならず、 またクマが出来たとしても普通に睡眠をとれば直ぐに治ってしまうのでわざわざ『治そう』とは思わなかったとも考えられます。

 

しかし東洋医学は病名や病症に関わらず脈やお腹の診断から『証』を導き、弱っている臓の虚を補えばどのような症状でも治ると考えています。

(証というのは、何が原因でどの経絡が弱っているのか?その状態を分かりやすく表した言葉です。)

 

それは目の下のクマも例外ではありません。つまり目の下にクマが出ている時の『証』から元の状態に戻すように経絡を調整すれば良いわけです。

 

では、目にクマができる時というのはどのような『証』でしょうか?

 

東洋医学では眼球そのものは肝の経絡がつかさどりますが、目の周囲にはいくつかの経絡が通っています。また『鍼灸重宝記』という古典の書物には目の周囲の部位で五臓(肝・心・脾・肺・腎)の

状態を窺うことができるとされています。

まず上記の図をご覧ください。

 

これらの図から分かるように目の下、クマのできる部分は『脾・胃』が関わってきます。

 

『脾』『胃』は共に土行に属し、表裏の関係で繋がっています。

脾は胃を働かせて飲食物から気・血・津液を作らせています。

 

そして脾には全身の血液を統括する『統血』の作用があります。そのため、脾の働きが悪くなると

内出血を起しやすかったり一度 出血すると血が止まりにくいというような状態になります。

 

前回のブログでクマの原因は目の下が血行不良になっているためだと書きました。

下まぶたの皮膚の薄い所で毛細血管から内出血して、古い血液が停滞しているのです。

 

東洋医学ではこの古い血液の停滞を『瘀血』と呼び、肝実証の時にあらわれる症状だとしています。

 

そして下まぶたは『脾・胃』の状態が現れる場所なのでこれは『脾虚肝実証』と考えて良いと思います。

 

これで東洋医学でのクマの考え方について方向性が見えてきました。


 


 

では次に目の下のクマに効果を期待できるツボを紹介させて頂きます。
  

上記の図は脾虚肝実証の時に使用するツボです。

目の症状なのになぜお腹や足も?と疑問に思われるかもしれません。

 

しかし前回も書きましたがクマは目の下の瘀血が原因なので、体内の血流をよくして瘀血を除去しやすい状態にするために全身のツボを有効に使います。

 

顔のツボはお風呂上りや、蒸しタオルで目を温めたあとにマッサージをしてみて下さい。

 

目の下のクマの改善を考えるうえで一番大事なことは、その原因が生活習慣にあるということです。いくら鍼やマッサージで治療をしても不規則な生活を続けたり、目を使いすぎるととうぜん何の変化も現れません。

 

また、クマというのは何らかの原因が慢性化してその状態になっているわけですから個人差はありますが一度の治療や施術で効果がすぐに現れることほとんどありません。


健康的な美しさを保つ秘訣は 楽しみながらマッサージや温熱療法を続け、日常生活も少しずつ無理なく改善させていくことです。